予防接種とは

予防接種は、感染症にかかる前にワクチンを接種することで、病気に対する免疫をつけたり、感染した場合の重症化を防いだりするための大切な医療です。
感染症の中には、発熱や咳、発疹、胃腸炎症状だけでなく、肺炎、脳炎、髄膜炎、敗血症、後遺症などを引き起こすものもあります。
予防接種は、ご本人を守るだけでなく、周囲のご家族や地域全体への感染拡大を防ぐ役割もあります。

ワクチンには、病原体の毒性を弱めた「生ワクチン」、病原体の感染力をなくした「不活化ワクチン」、病原体の一部の成分を利用する「組換えワクチン」や「サブユニットワクチン」、細菌の毒素を無毒化した「トキソイド」など、さまざまな種類があります。
いずれも、体の免疫に病原体の特徴を覚えさせ、実際に感染したときにすばやく対応できるようにすることを目的としています。

予防接種に期待できる効果には、感染そのものを防ぐ効果、発症を防ぐ効果、重症化を防ぐ効果があります。
ワクチンによって得意とする効果は異なりますが、重い合併症や入院のリスクを減らすことは、乳幼児、高齢者、基礎疾患のある方、免疫が低下している方にとってとくに重要です。
当院では、小児の定期接種をはじめ、インフルエンザ、肺炎球菌、B型肝炎、帯状疱疹、子宮頸がんワクチンなど、小児から大人までの予防接種に対応しています。
お子さまの接種スケジュール管理はもちろん、働き盛りの方の感染予防、高齢の方の重症化予防、基礎疾患のある方のワクチン相談まで、地域のかかりつけ医として丁寧にご案内します。

主なワクチンについて

インフルエンザワクチン|大人・小児

インフルエンザは、インフルエンザウイルスによって起こる感染症です。
突然の高熱、寒気、頭痛、関節痛、筋肉痛、強いだるさ、咳、のどの痛み、鼻水などがみられます。

多くは数日で回復しますが、小さなお子さま、高齢者、妊娠中の方、喘息や心疾患、糖尿病などの基礎疾患がある方では、肺炎、気管支炎、急性脳症などの重症化に注意が必要です。
インフルエンザワクチンは、発症を完全に防ぐものではありませんが、発症リスクや重症化リスクを下げる効果が期待されます。
毎年流行するウイルスの型が変わるため、原則として毎シーズン接種することが勧められます。

接種の効果は接種後およそ2週間からあらわれ、約5か月持続するとされています。
例年、インフルエンザは冬に流行しやすいため、10〜12月頃までに接種を済ませておくと安心です。
成人は通常1回接種ですが、小児では年齢によって2回接種が推奨される場合があります。
13歳未満のお子さまは、通常2〜4週間程度の間隔をあけて2回接種します。
13歳以上は原則1回接種です。

高齢の方については、自治体による定期接種や公費助成の対象となる場合があります。
大阪市の補助については、下記サイトをご参照ください。
大阪市:インフルエンザワクチン接種について

肺炎球菌ワクチン|大人・小児

肺炎球菌は、肺炎のほか、中耳炎、副鼻腔炎、髄膜炎、菌血症などを引き起こす細菌です。
通常から鼻やのどに存在している常在菌ですが、乳幼児や高齢者、免疫が低下している方、心臓・肺・腎臓などに基礎疾患がある方では発症することがあり、重症化する場合もあります。
なかでも肺炎球菌による髄膜炎や敗血症は、命に関わることや後遺症を残すこともあるため、予防が重要です。

小児の肺炎球菌ワクチンは、定期接種として生後2か月から開始します。
標準的には、生後2か月、生後3か月、生後4か月頃に初回接種を行い、その後、生後12〜15か月頃に追加接種を行います。
生後早い時期から接種を始めることで、重症感染症のリスクが高い乳児期のお子さまを守ることにつながります。

高齢者の肺炎球菌の予防接種は、定期予防接種となっており、自治体による補助があります。
大阪市の補助については、下記サイトをご参照ください。
大阪市:高齢者用肺炎球菌ワクチン接種について

B型肝炎ワクチン|大人・小児

B型肝炎は、B型肝炎ウイルスに感染することで起こる肝臓の病気です。
感染すると、一時的な肝炎で回復することもありますが、慢性肝炎となり、将来的に肝硬変や肝がんにつながることがあります。
感染経路には、母子感染、血液を介した感染、性的接触による感染などがあります。
生後1歳に至るまでの間にある小児のB型肝炎ワクチンは、定期接種として行われています。
B型肝炎ワクチンは不活化ワクチンとして、生後2か月、生後3か月、生後7〜8か月の3回を標準的な接種時期としています。
乳児期に接種することで、将来のB型肝炎ウイルス感染と、それに伴う慢性肝炎・肝硬変・肝がんのリスクを下げることが期待されます。
母親がB型肝炎ウイルスを持っている場合には、出生直後から特別なスケジュールで母子感染予防を行う必要があります。

成人でも、医療・介護・保育など血液や体液に触れる可能性がある職種の方、血液による汚染事故が遭った場合、家族にB型肝炎ウイルスキャリアがいる方、将来的な感染予防を希望される方などでは任意で接種が可能です。
通常は3回接種で免疫獲得を目指します。接種の必要性や抗体検査についてもご相談ください。

帯状疱疹ワクチン|シングリックス

帯状疱疹は、水ぼうそうと同じ水痘・帯状疱疹ウイルスによって起こる病気です。
子どもの頃などに水ぼうそうにかかった後、ウイルスは体内の神経に潜伏し、加齢、疲労、ストレス、病気、免疫力の低下などをきっかけに再び活動することがあります。
体の片側にピリピリした痛みや赤い発疹、水ぶくれが現れるのが特徴です。

帯状疱疹は、皮膚症状が治った後も痛みが長く残る「帯状疱疹後神経痛」を起こすことがあります。
目や耳の神経に現れると、めまいや耳鳴りのほか、視力低下や顔面神経麻痺などを引き起こすこともあります。
高齢になるほど発症しやすく、痛みが長引きやすいため、予防が大切です。

当院では帯状疱疹のワクチンとして、シングリックス(組換え[不活化]ワクチン)を採用しています。
通常、2か月以上の間隔をあけて2回接種します。
生ワクチンではないため、免疫機能が低下している方にも使用を検討できる場合がありますが、接種の可否は病状や治療内容によって異なります。

帯状疱疹ワクチンは、2025年度から高齢者の定期接種となり、自治体の補助があります。
大阪市の補助については、下記サイトをご参照ください。
大阪市:帯状疱疹ワクチン接種について

子宮頸がんワクチン

子宮頸がんワクチンは、ヒトパピローマウイルス、いわゆるHPVの感染を予防するワクチンです。
HPVは、性的接触のある女性の多くが生涯に一度は感染するとされる一般的なウイルスで、多くは自然に排除されますが、一部のタイプのHPV感染が長く続くと、子宮頸がんをはじめ、肛門がん、膣がん、外陰がん、尖圭コンジローマなどの原因になるとされています。

子宮頸がんは、若い世代でも発症することがある病気です。
子宮頸がんワクチンは定期接種となっており、対象は、小学校6年生から高校1年生の年齢に相当の女子です。
ワクチン接種により、将来の子宮頸がんのリスクを減らすことが期待されます。

ただし、すべてのHPV感染やすべての子宮頸がんを防げるわけではないため、接種後も年齢に応じた子宮頸がん検診が大切です。

使用する子宮頸がんワクチンは9価ワクチン「シルガード9」が用いられます。
接種時期や接種間隔についてなど、詳しくは下記サイトをご参照ください。
大阪市:子宮頸がん予防(HPV)ワクチンの接種について

接種を検討する際には、ワクチンの効果、接種回数、接種間隔、接種後に起こりうる症状について、ご本人と保護者の方が理解したうえで進めることが大切です。
当院では、年齢や接種歴を確認し、丁寧なご説明を行い、ご納得の上、接種を行います。

小児の定期接種

小児の定期接種は、重症化しやすい感染症からお子さまを守るために、国が対象年齢や回数を定めて行う予防接種です。
基本的に接種費用は無料です。

乳幼児期は病気に対抗する力である免疫力が、まだ十分に発達していません。
生まれた当初はお母さんから授かった免疫を持っていますが、数か月後にはそれが弱まり、さまざまな感染症にかかりやすくなります。
そのため、生後2か月頃から本格的に始まる定期接種を受けることが、とても大切です。

当院では、小児の定期接種に対応し、接種時期や回数、同時接種の可否、体調不良で延期した場合の再調整などについてもご相談いただけます。
母子健康手帳を確認しながら、お子さま一人ひとりに合わせた接種スケジュールをご案内します。
接種の際は、母子健康手帳、予診票、健康保険証、医療証などをご持参ください。

小児の定期接種となっているワクチン

ロタウイルスワクチン(ロタリックス)

  • 種類:生ワクチン
  • 対象:生後6週~24週
  • 接種回数:2回

ロタウイルスワクチン(ロタテック)

  • 種類:生ワクチン
  • 対象:生後6週~32週
  • 接種回数:3回

B型肝炎ワクチン

  • 種類:不活化ワクチン
  • 対象:生後2か月~1歳未満
  • 接種回数:3回

小児肺炎球菌ワクチン

  • 種類:不活化ワクチン
  • 対象:生後2か月~5歳未満
  • 接種回数:1~4回(接種開始月齢によって異なります)

五種混合ワクチン(1期)(ヒブ・ジフテリア・百日咳・破傷風・ポリオ)

  • 種類:不活化ワクチン
  • 対象:生後3か月~7歳6か月未満
  • 接種回数:4回

BCGワクチン

  • 種類:生ワクチン
  • 対象:生後5か月~8か月未満
  • 接種回数:1回

MRワクチン(麻疹・風疹混合)

  • 種類:生ワクチン
  • 対象
    • 第1期:1歳~2歳
    • 第2期:年長児(小学校入学の前年)
  • 接種回数:計2回

水痘ワクチン

  • 種類:生ワクチン
  • 対象:1歳~3歳未満
  • 接種回数:2回

日本脳炎ワクチン

  • 種類:不活化ワクチン
  • 対象:生後6か月~(標準的な初回接種年齢は3歳、追加は4歳、第二期は9歳)
  • 接種回数:計3回

二種混合ワクチン(2期)(ジフテリア・破傷風)

  • 種類:不活化ワクチン
  • 対象:11歳~13歳未満(標準的な接種年齢は小学6年生)
  • 接種回数:1回

子宮頸がんワクチン(ヒトパピローマウイルス感染症)

  • 種類:不活化ワクチン
  • 対象:小学6年生~高校1年生相当の女子
  • 接種回数:接種開始年齢により異なります(2回または3回)

小児の任意接種となっているワクチン

おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)ワクチン

  • 種類:生ワクチン
  • 対象:生後12か月~
  • 接種回数:1回(確実に免疫をつけるなら2回推奨)

インフルエンザワクチン

  • 種類:不活化ワクチン
  • 対象:生後6か月~
  • 接種回数:毎年10~11月ごろ

新型コロナワクチン

  • 種類:mRNAワクチン
  • 対象:生後6か月~
  • 接種回数:2~3回

髄膜炎菌ワクチン

  • 種類:不活化ワクチン
  • 対象:生後2か月~
  • 接種回数:ワクチンの種類や接種年齢によって異なります

三種混合ワクチン(ジフテリア・破傷風・百日咳)

  • 種類:不活化ワクチン
  • 対象:5歳~7歳の誕生日前まで
  • 接種回数:1回

当院では2019年COVID19パンデミックの頃からm RNAワクチンは接種していません。今後も行わない方針です。

ワクチン接種のスケジュールについては、以下に接種開始年齢・回数などがわかりやすく書かれていますので、ご参照ください