禁煙外来とは

禁煙外来は、たばこをやめたい方に対して、医師が医学的に禁煙をサポートする外来です。
喫煙は「意思が弱いからやめられない」というものではなく、ニコチンによる依存が関係しているため、自力で禁煙しようとしても、強い吸いたい気持ち、イライラ、集中しにくさ、眠気、頭痛などの離脱症状によって、途中で挫折してしまうことがあります。
たばこには、ニコチン、一酸化炭素、タールをはじめ、多くの有害物質が含まれています。
喫煙は、肺がん、喉頭がん、食道がん、胃がん、膀胱がんなどのがん、心筋梗塞や狭心症、脳卒中、慢性閉塞性肺疾患、気管支喘息の悪化、糖尿病や高血圧など生活習慣病の悪化にも関わります。
また、妊娠中の喫煙は胎児の発育に影響し、受動喫煙はお子さまの気管支炎、喘息、中耳炎、乳幼児突然死症候群などのリスクにも関係します。
禁煙外来では、喫煙状況やニコチン依存度を確認し、禁煙補助薬を使用しながら、無理なく禁煙を続けられるように支援します。
一定の基準を満たす喫煙者には12週間に5回の禁煙治療に健康保険が適用され、薬物治療だけでなく、医師から専門的な禁煙アドバイスも行っていきます
「何度も禁煙に失敗している」「そろそろ本気でやめたい」「健康診断で異常を指摘された」「家族のために禁煙したい」という方は、お気軽にご相談ください。
禁煙することのメリット
禁煙には、健康面だけでなく、ご家族や生活面にも多くのメリットがあります。
- 咳や痰、息切れが改善しやすくなる
- 心筋梗塞や脳卒中などの心血管疾患リスクを下げることが期待できる
- 肺がんをはじめとするがんのリスク低下につながる
- 慢性閉塞性肺疾患の進行予防につながる
- 高血圧、糖尿病、脂質異常症など生活習慣病の管理に役立つ
- 傷の治りや手術後の回復に良い影響が期待できる
- 味覚や嗅覚が改善し、食事をおいしく感じやすくなる
- 口臭や衣類・部屋のにおいが軽減しやすくなる
- 歯周病や歯の着色の予防につながる
- 受動喫煙によるご家族、とくにお子さまへの影響を減らせる
- たばこ代の節約につながる
- 将来の病気への不安を減らし、健康管理に前向きになれる
など
禁煙の効果は、禁煙を始めた直後から少しずつ現れます。
長く吸っていた方でも、禁煙を始めるのに遅すぎるということはありません。
禁煙治療の保険適用となる条件
禁煙治療では、一定の条件を満たす場合に健康保険を使って治療を受けることができます。
健康保険による禁煙治療の対象としては、以下の条件があります。
- ニコチン依存症に係るスクリーニングテスト(TDS)で5点以上、ニコチン依存症と診断された方
- 35歳以上の場合、ブリンクマン指数(=1日の喫煙本数×喫煙年数)が200以上の方
- 直ちに禁煙することを希望されている方
- 「禁煙治療のための標準手順書」に則った禁煙治療について説明を受け、当該治療を受けることを文書により同意された方
過去に健康保険で禁煙治療を受けたことがある方は、前回の初回診療日から一定期間が経過しているかどうかなど、再度の保険適用に条件があります。
実際に保険診療の対象となるかどうかは、初診時に喫煙状況や治療歴を確認して判断します。
禁煙治療で使用される薬剤
禁煙治療では、ニコチン切れによる離脱症状を軽くし、禁煙を続けやすくするために禁煙補助薬を使用します。
禁煙補助薬には飲み薬、貼り薬、ガムなどがあります。当院では主にチャンピックスという飲み薬を使用します。
バレニクリン|チャンピックス
バレニクリン(製品名チャンピックス)は、ニコチンを含まない飲み薬の禁煙補助薬です。
脳内のニコチン受容体に作用し、禁煙時の離脱症状やたばこを吸いたい気持ちを軽くするとともに、喫煙したときの満足感を抑える働きがあります。
一般的には、禁煙開始日を決め、その1週間前から内服を開始します。
治療期間は通常12週間です。
副作用として、吐き気、胃部不快感、便秘、不眠、眠気、頭痛、いつもと違う夢を見るなどがみられることがあります。
運転や危険作業を行う方、精神疾患の治療中の方、腎機能が低下している方などでは、使用に注意が必要です。
ニコチンパッチ
皮膚に貼ることで少量のニコチンを吸収させ、イライラなどの離脱症状を和らげる薬です。喫煙しながら使用するとニコチン過量になる恐れがあるため、使用中は禁煙が必要です。
通常、毎日1枚を貼り替えて使用します。
治療の経過に合わせて、ニコチン量の異なるパッチへ段階的に変更していきます。
なお心臓病のある方、皮膚がかぶれやすい方、妊娠中・授乳中の方などは、使用の可否を医師と相談します。
薬局やドラッグストアで購入できます。購入時には薬剤師の説明、対面販売が必要になります。
ニコチンガム
ニコチンガムは、ニコチンを口の粘膜から吸収させる禁煙補助薬です。
たばこを吸いたくなったときに使用し、吸いたい気持ちを抑える目的で使います。
噛み方に特徴があり、普通のガムのように噛み続けるのではなく、ゆっくり噛んで頬の内側に置くという使い方を繰り返します。
薬局やドラッグストアで購入できます。購入時には薬剤師の説明、対面販売が必要になります。
禁煙治療の流れ
一般的な禁煙治療は、12週間で5回の通院を行うプログラムです
- 初診|喫煙状況とニコチン依存度の確認
喫煙本数、喫煙年数、禁煙経験、持病、服薬内容を確認し、ニコチン依存度を評価して、保険適用の条件に該当するかを確認します。
あわせて、呼気中一酸化炭素濃度を測定することがあります。 - 禁煙開始日の設定と治療方針の決定
禁煙開始日を決め、薬剤の選択と使い方を確認します。
吸いたくなったときの対処法も一緒に考えます。
ご家族に協力してもらう、喫煙具を処分する、喫煙しやすい場面を避けるなど、生活面での準備も大切です。 - 再診|禁煙状況と離脱症状の確認
2回目以降の診察では、禁煙状況、離脱症状、副作用、再喫煙の有無を確認します。
途中で吸ってしまっても、治療を続けながら立て直します。
再喫煙した理由を一緒に振り返り、次に同じ場面でどう対応するかを考えることが大切です。 - 治療継続|禁煙状況と離脱症状の確認
薬を継続しながら、生活上の困りごとや吸いたい場面への対策を行います。
体重増加が気になる方、口寂しさが強い方、ストレスで吸いたくなる方など、それぞれの状況に応じた対策を考えます。
禁煙は、最初の数週間がとくにつらい時期ですが、医師と一緒に経過を確認しながら進めることで、ひとりで取り組むよりも継続しやすくなります。 - 治療終了
12週間の治療終了時には、禁煙の継続状況、体調の変化、今後の再喫煙予防について確認します。
禁煙に成功した後も、飲酒の場、ストレスが強い時期、周囲に喫煙者がいる環境などでは、再び吸いたくなることがあります。
治療終了後も、再喫煙を防ぐための工夫や、吸いたくなったときの対処法を確認し、禁煙を長く続けられるようサポートします。