気管切開児の会に参加してきました!!

気管切開児の就学については全国でも少しずつ変化があるようです。院長コラムです。
当院でプライマリーケアをしている患者さんの関係で気管切開児の患者会に参加してきました。気管切開とは何らかの理由で口からの呼吸では十分でない患者さんが喉に穴をあけて、気管チューブやカニューレという器具を入れて直接そこから呼吸するための処置です。その器具が痰で詰まったり、誤って抜けたりすると窒息し最悪命にも関わります。だから世話をする家族は24時間気が抜けず本当に大変です。痰が詰まった時やカニューレが抜けてしまった時にはすぐに対応しなければなりません。幼稚園や学校は受け入れに難色を示すことが多く、ご家族の心配の種の一つになっています。
患者会では先日NHKでも取り上げられた神奈川県での気管切開児の小学校の受け入れに関してのニュースもみんなで見ましたが、なんと大阪府は障害を持つ子供の学校への受け入れに全国でも積極的な方で、学校に配置されている看護師の数も100人以上だそうです!!?正直そんな実感もなかったのですが、、、
実は私の同級生で、長いことヨーロッパで気道狭窄の治療に携わっていた医師がいて、彼の論文をここで少し紹介します。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25022423
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25009211
英語なので少し要約すると、小児の声門下狭窄(声帯のすぐ下が狭くなって呼吸ができない状態)に、喉頭気管吻合(狭いところを切り取った後、その上下をつなぐ手術)という手術を行えば患者の90%が気管カニューレを必要とせず、喉の穴をふさいでも安全な呼吸状態が保てるようになったということです。肋軟骨を用いた喉頭形成(狭いところを切り取らずに軟骨を使って広げる術式)では86%ぐらいだったそうです。私は彼(山本君というのですが、)と何度もこの手術の話をしていますが、(飲みに行ってるだけではありません笑!!)どのような状態でどういう手術をするかは知識と経験がいるところで、何でも同じ手術をしたらよいわけでなく、きっちり検査をした後にどのような手術や治療を選択するか考えなければならないということでした。彼がいたスイスの病院では年間500例くらいの気管支内視鏡検査や約50例の気道手術をしていたそうで、スイスのみならず世界中から患者が来ていたそうです。スイスの病院というだけで憧れてしまいますが、私は大阪でほがらかに皆様の健康に貢献していきたいと考えています。
気管切開のお子様をお持ちのご家族で、他の患児のご家族との交流や情報を探している方はご連絡いただければ患者会の話も含めて情報提供しますので是非ご相談ください。(2017 3/22)