先日ある患者さんから『先生はお子さんに子宮頸癌ワクチンをうたれますか?』と質問されました。院長コラムです。するどい質問です。今年の6月の厚生労働省は以下の勧告を出していますが、これってどっちやねん?うつんか?うたんのか?(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou28/pdf/kankoku_h25_6_02.pdf)ただ予防接種というものは、アナフィラキシーショックなど、副作用のない予防接種はないといわれています。どんな予防接種でも副作用のデメリットよりも疾病予防のメリットが勝れば行われるべきだろうと思います。
果して子宮頸がんワクチン(というより以前も書きましたが子宮頸がんワクチンと書くから話がおかしくなると思います。子宮頸がんの原因ウイルスといわれるヒトパピローマウイルスHPVのワクチンです!!)と呼ばれるものが子宮頸がんの発生率を下げるのかどうか?
実はそれに関してはまだ結果は出ていません。オーストラリアやアメリカなどでは、抗体がワクチンに入っているHPV16,18型による子宮内病変(子宮頸がんの前癌病変と理解してもらっていいと思います)は減少したという報告はありますが、どちらも2006年から導入されたばかりで子宮頸がんの発生率をさげるのかどうかはまだ統計の解析が待たれます。(ただ子宮頸がんはHPV16、18型の子宮内病変からの発生が多いです。またなんと頭頸部癌にもHPV16が関与するものがあるそうです!!)
ワクチンの是非を問う前に日本は子宮頸がん検診の体制が整っていないことも重要です。イギリスは子宮頸がん検診の受診率が40%から80%に上がった結果子宮がん発生率が10万人あたり16人から10人と減少しました。ワクチン投与によって前癌病変の発生率などが減少するのかどうか答え合わせの体制が整う前にワクチンの是非を問うのはどうか思います。
最初の質問ですが、まだうちの子の摂取年齢まで時間はあるので様子はみますが、4価型のガーダシルは2価型のサーバリックスに比べ疼痛が広範囲にわたることが少なく摂取するならガーダシルかなと考えます。諸外国の統計の解析が待たれます。(2013 10/5)