最近、ジョギングする暇がなく、ちょっとメタボ気味かも?院長コラムです。この秋 不活化ポリオワクチンが導入されますが、今日は予防接種の同時接種について考えてみましょう。
WHO(世界保健機関)は、全ての子供にBCG、B型肝炎、ポリオ、三種混合、ヒブ、肺炎球菌、ロタ、麻疹、風疹、子宮頸癌ワクチンの10種類を接種するように勧告しています。このうち乳児期前半で初期免疫を行いたいB型肝炎、ポリオ、ヒブ、肺炎球菌、ロタの各ワクチンは三種混合と同時に接種するよう勧めています。
実は日本で乳児の定期接種に定められているのはBCG、ポリオ、三種混合のみであり、これはWHO193カ国中最下位です。(ヒブ、肺炎球菌などは、自治体により公費負担でないところもあります。)他のWHO加盟国内では同時接種はあたりまえに行われており、同時接種をしないとこれらのワクチンを全て0歳代に行う事は中々ハードです。しかし2011年3月、日本国内でヒブ、肺炎球菌を含む同時接種後の死亡例が数件報告されました。ほとんどの例が先天性心疾患があった子らなのですが、他にもいろんな要因があるような気がします。
一方大阪市内の乳児が1歳の誕生日にすぐ麻疹風疹MRワクチンを接種するには、公費負担で0歳代に行う予防接種は、三種混合3回、BCG1回、不活化ポリオワクチン3回(おそらく、1歳代に4回目をすることになるでしょう。)肺炎球菌3回、ヒブワクチン3回の計13本となります。これに任意接種のB型肝炎ワクチン(0歳代に3本)、ロタウイルスワクチン(生後2ヶ月から5ヶ月に2回)、インフルエンザワクチン(2回)が加わると、0歳代にMAX20回の予防接種となります。予防接種だけでお母さん方大変ですよね。保育所に通っている乳児の方は風邪等引くと追っ付かなくなります。
北里大学生命科学研究所の中山先生は生ワクチンの同時接種においても干渉作用(どちらかのワクチンの効力が弱くなる事)はないとおっしゃっています。また、日本小児科学会、米国小児科学会も複数ワクチン(生ワクチンを含む)を同時に接種して、それぞれのワクチンの有害事象、副反応の頻度が上がる事はないとしています。
当院では以上の事を踏まえ、できるだけ同時接種をお勧めしますが、もちろんお母さん方の不安も考えて同時に接種する本数も相談しながら 予防接種を行おうと考えています。また水痘とおたふくの生ワクチンの同時接種も当初は控えていたのですが、いろいろ調べた結果行う事にしました。お気軽にご相談ください。(2012 6/7)